ウォンテッドリー株式会社の決算資料を見てみた

[本日のアジェンダ]

 

みなさま。お久しぶりです。

ザーニーです。

 

なかなか更新できていなくて、申し訳ございません。

 

うち会社の四半期決算処理のせいで、なかなか他社さんのIR資料を見れませんでした(言い訳)

 

それでは今回も決算書をみて勝手に会社を斬っていきましょう。

 

今回はウォンテッドリー株式会社さんの決算資料を見ていきます。

 ウォンテッドリー株式会社さんはビジネスSNSの『Wantedly Visit』を運営しており、SNS内に求人広告や記事、他社の人事の方からのオファーが来たりといったSNSサービスを展開しています。

 

似たようなサービスでいくと、以前Microsoftに買収されたことで話題になった『LinkedIn』などがあります。

 

では決算資料をみていきましょう。

 

ウォンテッドリー株式会社の決算まとめ

まずウォンテッドリー株式会社の主なサービスを確認してみましょう。

主力商品はビジネスSNSの『Wantedly Visit』で、他には名刺管理アプリの『Wantedly People』チャットサービスの『Wantedly Chat』、ツール探しの『Wantedly Tools』などを展開しています。

wantedly Visit

https://www.wantedly.com/

 

 

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第3Qの業績は上記のようになります。

売上はYoY68.4%、QoQ16.5%と爆発的に成長していることが分かります。

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売上構成を見てみると、基本的プランの伸び率がより向上しているだけでなく、オプションもしっかり伸ばしていることから、導入している会員の基本プランの単価が上昇していること(既存会員のアップセルor新規会員の高単価受注のどちらかが上手くいっているか、もしくはその両方が上手くいっている)がうかがえます。

 

 

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費用の内訳も見てみると、やはり広告費に大きく投下しているのが分かります。

特に前期と今期の2QではPeople広告費に約2億5千万も投下しているのですが、おそらくこれはCMなどで動画広告を打ったことにより大きく跳ね上がっているものと思われます。

 

ウォンテッドリー株式会社は8月決算なので、2Qといえば12月~2月という年度末の時期に当たるので、4月からの転職に向けて動き出す時期に当たる2Qで大々的に広告をうちユーザー数を一気に伸ばそうとしたのでしょうか。

 

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興味深いのは上記のシートの右側のグラフなのですが、営業利益率と広告宣伝費を除いた営業利益率の推移がでております。

個人的に広告宣伝費を除いた営業利益率の推移を見てもあまり参考にならないと思うのですが、このシートで伝えたいことは恐らくウォンテッドリー株式会社の今の財務体質は広告宣伝費の投下金額により営業利益がいくら残せるかどうかが大きく影響しますよ(ただ、広告宣伝費以外のところではしっかりやれているので、人件費の増加などは影響はありませんよ)、と言いたいのだと思います。

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そして左側に月間の利用者数及びユーザー数と、右側に企業のユーザー数(会員数)になります。どちらも堅調に伸びてきており、このままユーザー数が増えることで利用する企業数も増えて売上アップにつながり、得た利益で広告投下をすることでユーザー数をまた増やすことにつながる、といった正のスパイラルが上手く回っているようです。

 

一応前Qのユーザー数及び企業ユーザー数の資料が下記になります。

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概算にはなりますが、四半期で月間ユーザー数が約20万人、個人ユーザー数が10万人、企業ユーザー数が1,000社増加していることが分かります。

<ユーザー数推移>

月間ユーザー数:約20万人増

個人ユーザー数:約10万人増

企業ユーザー数:約1,000社増

 

ちなみに月間ユーザー数の半数が個人ユーザー数であることから、サイトを見る人の半分は実際に個人情報の登録・ログインのもと、サイトを利用していることが分かります。そのため言い換えればサイトを見る人の半分はアクティブユーザー(厳密にいうログインしていたとしてもただ閲覧しかしていない人もいますが)であるということです。

 

ARUP及びCPAから読み解く今後について

では上記の数字からいろいろな数字を見ていきたいと思います。

まずは、1企業ユーザー当たりの売上単価(ARUP)を算出したいと思います。

ウォンテッドリー株式会社のサービスはいくつかあるものの、主力はやはり『wantedly Visit』なのでここでは一旦全売上が『Wantedly Visit』から出ているものと考えて計算します。

 

ARUP:583百万円÷26,000社=22,423円

 

どうやら大体一社につき2万円ちょっとの売上単価になっているようです。

 

そして1ユーザー獲得広告単価(CPA)も計算してみます。

今第3Qで投下された広告費は163百万円で、増加した月間ユーザー数は約20万人でしたので、

 

CPA:163百万円÷20万人=840円

 

となりました。

 

ではARUPから読み取れるのは、売上の伸びはまだまだ続く&よりスピードが増して成長するだろうと予想しています。

というのは、『Wantedly Visit』の基本プランが下記のリンクに乗っているのですが、現在のARUPだとミニマムプランの金額を切っています。

採用担当者の方へ - Wantedly Adminの料金プラン

プラン内容をみると、成長速度が速い企業だとミニマムプランではすぐにプラン変更になってしまいそうな感じがします。そのためARUPはアップセルによるプラン変更によりまだまだ伸びていくものと思われます。

 

CPAに関しては、(LinkedInとしたかったのですが見つからず)FacebookのアプリDLにかかるコストと比べてみました。

appmarketinglabo.net

Facebookの場合は平均270円のようです。

ビジネスSNSとして利用用途などを限定しているとはいえ、SNSサービスのCPAがここまで下げている会社あるのであれば、ウォンテッドリー株式会社の努力次第で、下げるのを実現するのも全然可能なのかと思います。

 

つまり、

売上→調子がよいので、より成長する

費用→広告宣伝費によって利益が左右されるも、広告の投下における費用対効果はもっとあげることが可能

 

という結論になりました。

 

今日はこの辺で~