ビジョナル(ビズリーチ)の成長スピードの鈍化が不安すぎる件
[本日のアジェンダ]
- ビジョナルの決算概要
- 今後の展望について
どうもザーニーです。
だいぶご無沙汰しておりましたが、やっと少しずつ落ち着いてきましたので、ブログを久しぶりに更新します。
今回はビズリーチで有名なビジョナルを取り上げようと思います。
4月の末にマザーズに上場しましたが、上場時のバリエーションが1000億を超えており、久しぶりの大型上場となり話題となりました。
ただ、6月に上場後初となる決算発表がされたのですが、コロナの影響をもろにうけて成長率がめちゃめちゃ鈍化しており、大変不安な決算になりました。
ただ、現在ワクチン接種の普及も進んでおり、通常の営業活動が再開した後に、再度高成長に戻ることができるのか現在の決算をもとに色々予想していきたいと思います!
HR Techに興味のあるかたは是非読んでいただけるとありがたいです!
ビジョナルの決算概要
ビジョナルの事業ですが、CMでおなじみのビズリーチやキャリトレ、採用ツールのハーモス等が有名ですが、以外といくつもサービスを展開しています。
上記IR資料でも紹介されてますが、ビズリーチの他にM&A関連のサービスや脆弱性管理等のサービスなど幅広く展開しているようです。ただ、売上の内訳はビズリーチやキャリトレやハーモスなどのHR Tech事業が96.5%を占めており、ほぼHR事業の会社といっても良いかと思います。
確か上場時に提出していた目論見書内では、ビズリーチ事業だけで全売上の約90%、ハーモスで数パーセント程度という感じだったように記憶しているので、「ビジョナル=ビズリーチ」と現状は一旦そう思ってもらってもよいかとは思います。
売上などの業績をみていくまえに、ビジョナルという会社は実は今2期目の会社でして、昨年できた会社です。もともとはビズリーチという会社でしたが、ビズリーチ等サービス群で会社を分社し、その上にビジョナルを作ったような会社なので、比較対象が昨年の数字しかない非常に分析しづらい感じになっております・・。
投資家サイドからすると非常に見づらい決算資料ですね・・。(投資家からするとこういうのまじ辞めてほしいw)
ただ、ビジョナル自体はほぼビズリーチ事業がメインなので、ビズリーチ事業のIR資料を中心に拾っていけば数年前からの推移は読みやすいのではないかと思うので、そのように拾っていこうと思います。
全社業績
まず全体業績ですが、3Qまでの累計で206億円、営業利益は31億円となりました。
ただ、2021年7月期の通期業績予想を見てみると、267億円での着地を見込んでおり、前年とほぼ同水準での着地になりそうです。売上高成長率だと前年の20%→3.2%となり、非常に物足りない成長率に思います。
また、3Q累計で31億円の営業利益を出しているものの、通期で約9.6億円での着地を見込んでいることから、この4Qでだいぶマーケティングコストなどをかけているようです。このマーケティングコストがどこにかけているのか、このあとの事業ごとの資料をみていきましょう!
ビズリーチ事業
ビズリーチ事業で見てみると、おおむねビジョナルの売上と相関してますが、前年とほぼ同水準の売上で着地する見通しです。前期の4Qから当期の1Qまでの半年間がコロナの影響でビズリーチにとって厳しい状況ではあったものの、徐々に持ち直しているようです。
ただ、ビズリーチ事業の主要KPIである導入企業数、ヘッドハンター数、会員数は着実は伸びてはいるものの、伸びがだいぶねてきていますし、最近LinkedIn等のビジネスSNSなどを利用したダイレクトリクルーティングがどんどん広まってきているので、他社のダイレクトリクルーティングプラットフォームに比較しどう競合に勝っていくかは今後の注目点にはなりそうです。
ハーモス事業
それではハーモス事業についてみていきます。
ハーモス事業自体は今期順調にいけば売上10億円を突破し、通期予想では11億円程度で着地する見通しです。もし11億円で着地すれば118%成長となりビズリーチ事業よりは伸びていますが、この規模間におけるSaaS事業でのこの成長率はやはり物足りないなとは思ってしまいます。
特筆すべきは、営業赤字の額です。売上以上に赤字が計上されているのが分かります!(一瞬桁が違うのか?と何度も見直してしまいましたw)
SaaS系のビジネスモデル上、初期に大きな投資をして赤字決算になってでもマーケティングコストをかけて企業を獲得していくことで、導入企業が解約せず継続して利用し続けてくれることで、コストを回収していくモデルであるため、初期に赤字になるのは普通なのですが、売上以上に赤字になっているのがビジョナルの本気度を感じます・・。
これは、ビズリーチ事業がどうしても景気に左右されやすい性質上、ストック型で収益が積みあがっていく事業を成長させたいビジョナルの思惑がにじみ出ている決算だなとひしひしと感じました。
その割には売上高成長率がだいぶ鈍化していることが、こちらも非常に不安ではあります・・。
また、解約率が四半期ベースでみるとグンと上昇しているのも、懸念点の一つです。
単月ベースでみると解約率の上昇は直近では抑えられているように見えるので、止血はできた状況かと思いますが、ハーモス自体の採用管理ツールは競合他社も多く且つ差別化も難しい部類であるため、最初の資料のように採用管理だけではない人事系のツールを掛け合わせたサービスにしていくことで差別化を図っているのだと思われます。
個人的には確かにその戦略は間違ってはいないとは思いますが、開発予定の給与・労務・勤怠になると、競合がまた一段と増え、ジョブカンやSmartHRとも戦わないといけないので、そことも打ち勝てるのか?、また会計ソフトからバックオフィス業務を一気通貫でサービス提供しようとしてるfreeeやマネフォとも今後は競合にもなりうる部分なので、結構難しい舵取りになるだろうなと思います・・・。
(経理畑出身者から物申すと、最終会計数字に帰結するので、会計ソフトとの親和性がものをいうかと思ってます。その点を考慮するとハーモスは弱いと言わざるを得ないのが現状・・。)
今後の展望について
以上、とくにビズリーチ事業とハーモス事業について見てきましたが、今後の展望について考えてみました。
やはり会社としてハーモスを大きくしたいというのは投資額を見てても感じるので、ここの成長率であったり、各種KPI数字がどの程度の速さで成長しているのかは注目すべき点だと思います。
また、コロナワクチンが進んで集団免疫を獲得した後に、ビズリーチ事業もある程度の成長率に戻ると思うので、その成長スピードがどこまで加速するのか、という部分も注目かと思います。
ただ、上述したように、それぞれの事業で競合となるサービスは存在しているので、どう競合に打ち勝つ施策を打って実行できるか、が結局は大きな焦点になりそうです。
というところで今日はこの辺で~