最近上場承認された、ワンキャリア㈱についてあれこれ(SOとか)調べてみた

[本日のアジェンダ]

  • 業績について
  • 企業価値について
  • 気になるSOや株主構成等について

 

どうもザーニーです。

今回は最近上場が決まったワンキャリアについて見ていこうと思います。

 

ワンキャリアは、新卒採用サイトの「ONE CAREER」を運営している会社です。掲載企業の一般的な情報だけではなく、各企業の選考内容や実際に選考に進んだ就活生の感想や生の声やコメントが掲載されており、これからその企業を受けたい就活生にとって企業理解に非常に便利なメディアです。

 

また、個人的な肌感覚ですが、就活生の中でも割と早期に動き出すいわゆる”優秀層”学生が多く利用している印象があり、優秀な学生を採用したい大企業からベンチャー企業まで多くの企業が掲載しています。

 

ワンキャリアはまだ上場しておらず、主に目論見書や新規上場申請のための有価証券報告書(以下、「一の部」)に記載されている情報をもとに分析していこうと思います。

 

前回のビジョナルに続き人事の特に採用周りのサービスを展開してる会社の記事が続きますが、中途採用がメインのビジョナルと、新卒採用がメインのワンキャリアの比較ができるかと思います。

 

人事や採用周りに興味のある方に是非読んでいただきたいです!

 

業績について

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売上についてですが、前期(6期)が約13.3億円であり成長率はYoY+40%と高い成長率で伸びてます。今期(7期)も半年が終わった時点ですでに10億円を超えており、新卒採用に開始時期的要因もあるものの、単純に売上を2倍した20億円で今期着地するとした場合、YoY+53%程になることから、高い成長率を継続しているものと思われます。

 

また利益ですが、今期は大きな利益額になっているものの、5期を除き4期や6期は大体利益率3~5%程度で落ち着いている点や、広告宣伝費は上場後も継続して投下され続けるだろう点から、恐らく通期の決算が出るころにはもう少し利益額や利益率は下がっているものと思われます。

 

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つづいて、ONE CAREERのメディア力について把握するうえで重要なKPI指標の推移ですが、まず学生の登録者数ですが卒業生も含める累計の数ですが、右肩上がりに伸びているのはもちろんですが、ここ直近の伸びが一段の早まっているように見受けられます。

これは、就活開始タイミングと重なっているのと、ONE CAREER自体がYouTube等を利用してしっかり認知されてきていることが影響しているものと思われます。

 

また、取引企業数もしっかり伸ばせていることから、新卒採用系メディアとしてONE CAREERを採用する企業も今後どんどん増えていくことが予想されます。

 

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今後の事業の展開についてですが、上記のように今後はONE CAREERで獲得した新卒社会人のデータを活用し、中途領域や他の人材領域に横展開していくのは定石かと思いますが、なかなか新卒→中途へのシームレスなサービス展開が難しいだろうなと思います。

これまで新卒採用メディアでうまくいった会社が、中途採用領域に進出してもうまくいっていないケースは他社にも見受けられる印象です。

要因はいくつかあるんでしょうが、新卒向けと中途向けではやはり求めてるニーズが違うことから、全く新しいメディアを0から作らないといけない点や、中途採用市場すでに存在している競合との勝負やLikedinなどのビジネスSNSの台頭等、外部要因も大きいのかと思ってます。

 

この辺りは今後ワンキャリアがどのように拡大していくのか注目したいなと思います。

 

あと、この辺は細かいですが、一の部を見てて面白いなと思ったのは、売掛金や買掛金、前受金の上位社を見てると面白いことが見えてきました。

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まず売掛金ですが、一番大きいのはJTでした。こういう言い方は失礼になるのですが、総合商社やIT企業等の新卒人気ランキングに載ってくるような会社が入るのかなと思ってましたが、意外とJT一番大きいということがわかりました。

 

買掛金の方はイメージ通りですが、ワンキャリアの特徴でYouTube等の動画コンテンツもとても多いことから、メディア運営のエンジニア関連の外注費と、動画制作会社関連の外注費が多く発生するビジネスモデルであるため、買掛金の上位社はすべてその外注関連の会社でした。

 

前受金については、今後新卒採用イベントやタイアップや企画を実施していく予定の企業たちかと思われます。確かに企業群を見ると最近注目のIT企業が多いことが分かります。

 

企業価値について

それでは、企業価値について見ていきたいと思います。

下記サイトによると、今回のワンキャリアの上場における企業価値は約114億円での上場になります。

kabu.96ut.com

 

一般的にIPOする際は、IPOディスカウントと呼ばれるディスカウントが入るので、そのディスカウントを除くと、実質は大体約140億円程度になりそうです。

今回は便宜上114億円で計算したいと思います。

今回の上場では、PSRが約8.7倍、PERが約35.6倍となりました。(直前期の数字をもとに計算。)

 

ちなみにビジョナルは、PSRが6.7倍、PERが456.3倍で上場しております。(申請期の業績予想をもとに計算しているので、比較対象の期が異なります。恐らくワンキャリアも申請期の売上でPSRを計算するももっと下がるはずです。仮に今期20億で予想している場合は、PSRは5.7倍になります。)

 

上記の点から、ビジョナルと比べると期待値はやや低めではあるものの、マザーズIPOで見ると大きめな上場になり、このPSRとPERは非常に期待値の高い上場であることがうかがえます。

むしろビジョナルが結構注目集めすぎてて、異常なPERなだけです笑

 

気になるSOや株主構成について

まずワンキャリアのSOについてですが、全部で3回発行されているようです。

 

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とくに3回目のときに従業員53名にも付与されており、一の部申請時の従業員が66名であることから、メルカリと同じくSO発行当時の従業員全員に薄く広く配ったのだと思われます。

こういうSOの配り方を見てても、会社としてのスタンスが垣間見えてとても親近感がわきますね!

もしかするとワンキャリに友人や知人がいる方はその方はSOを持ってる可能性が非常に高いので、ぜひ嫌われない程度に連絡してみてください笑

 

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主な株主ですが、代表の宮下さんが74%も保有していた一方で、「転職の思考法」という書籍で有名な北野唯我さんは1.65%しか保有しておらず、知名度的に意外といえば意外でしたが、創業当初からいるわけではないので、北野さん程の知名度でも1~2%というのは一つ学習になりました。

 

これはベンチャーのSOを検討する上で非常に良い事例になるかと思います。

 

また、heyの佐藤さんやニューピースの高木さん(もし違ったらごめんなさい!!)も出資しており、投資家としての目利きがほんとすごいなと感心してしまいます・・。

 

今回は目論見書や一の部といった、いつものパワポ形式のものではなく、割と文章が多めなものから分析をしてみましたが、いかがでしたでしょうか?

是非一の部や上場後の有価証券報告書も読んでみると、その会社についてより深く知ることができるので是非チャレンジしてみてください!

 

ということで、本日はこの辺で~