【2022年版】インターネット広告代理店の各社の売上や営業利益率について、正確に比較してみた

[本日のアジェンダ]

  • 新たに変わる売上の計上方法について
  • 3社比較について

 

どうも、ザーニーです。

 

ブログの更新がだいぶ久しぶりになり申し訳ございませんでした。

 

さて今回はインターネット広告代理店の各社のPLのうち、売上規模を正確に比較していこうと思います。

「正確に比較」と表現してますが、これは何を意味しているかというと、これまで広告代理店業を行っている各社の売上計上は、各社が適用している会計基準に即して計上していますが、日本の会計基準だとグロス計上する一方で、IFRS等の国際会計基準を適用している会社だとネット計上することになっていたため、国際会計基準を適用する電通セプテーニの売上が競合と比較し、低く見えてしまっていました。

 

ただ、この度日本の会計基準でも国際会計基準に寄せていく流れや、これまで一部あいまいだった売上計上の基準を今一度整理したことで、上記のように導入する会計基準の違いで売上の見え方が全然違うように見えていたものが、基本的に売上の計上方法が統一されてきた(注:会社ごとに若干のビジネスモデルの違いがあることから、すべての広告代理店の売上計上がネット計上になる訳ではありません。)ことから、やっと正確に売上高を比較することができるようになりました。

 

下記に詳しく説明している記事をいくつか貼っておきます!

irnote.com

diamond.jp

 

そのため、今回は代表的なインターネット広告代理店である、サイバーエージェントセプテーニアドウェイズの3社について比較してみようと思います。

 

インターネット広告に携わる方等に見ていただけると大変嬉しいです。

 

新たに変わる売上の計上方法について

3社を比較する前に、改めて簡単に売上の計上方法がどのように変わり、変更することにより営業利益率にどのように影響するのかを確認してみましょう。

上記が簡単にまとめたものになりますが、これまで日本の会計基準ではグロス計上を実施していたため、もし売上100のうち媒体費用が70である場合は、売上高100と売上原価70が計上され、売上が大きく膨らむため営業利益率も下がるように見えます。

一方で、これまでの国際会計基準や、改正後の日本の会計基準を適用するとネット計上になるケースが多いことにより、売上30売上原価0となり営業利益率が67%となり、利益率が大幅に改善される、という現象が起こります。

(もちろん本来はこんなに単純ではありませんが、イメージとして上記のようにとらえていただければ幸いです)

 

では、比較する3社が以前までどのような売上の計上方法だったのか、改正後どのようになるのかを見ていきましょう。

もともとセプテーニ国際会計基準を適用しているため、以前よりネット計上でした。サイバーエージェント及びアドウェイズが日本会計基準を適用しており、以前は両社ともグロス計上だった一方で、アドウェイズはネット計上に変更しているものの、サイバーエージェントグロス計上を踏襲していることがわかりました。

 

サイバーエージェントがなぜグロス計上を続けていけるのかについては、社内や担当する監査法人しか分からないため推測の域を超えませんが、もしかすると取引先と提携する契約書の条項内にグロス計上に資する条項(経理の方なら聞いたことあるワードかと思いますが、「本人取引」に該当する条項)があるのではないかと思われます。

 

(追記)「本人取引」及び「代理人取引」に関する違いについては、下記もご参考ください。

reiwa-ac.co.jp

www.ey.com

 

よって、サイバーエージェントは、今出しているインターネット広告事業の決算数値はグロス計上によるものであるため、厳密には他社と比較することができませんが、有価証券報告書内に、売上原価に相当する媒体費用が明記されているため、その数値を利用して試算しネット計上した場合を想定して比較してみようと思います。

 

3社比較について

それでは3社のPL比較を見ていきたいと思います。

ちなみに比較するPLは各社の直近でリリースしている四半期報告書の数値ですので、サイバーエージェント及びアドウェイズは、対象期間が2022年1月~3月、セプテーニは2021年10月~12月の四半期のPLとなっております。

また、サイバーエージェントについては上述したように、ゲーム及びメディア事業を除き、広告事業のみのPLとし、IR上はグロス計上されているものを、有価証券報告書等の開示数値を参照して、簡易的に私の方で試算したものとなりますので、その点ご了承ください。

 

まず、売上規模の比較でみると、サイバーエージェントが約277億円に対し、セプテーニは約66億円、アドウェイズは約35億円という売上規模比となりました。セプテーニからすると約4.2倍アドウェイズからすると約7.9倍の売上規模の差があることがわかりました。

 

ちなみに、サイバーエージェントの広告事業における従業員数は約2,000人、セプテーニの連結上の従業員数は約1,500人、アドウェイズの連結上の従業員数は約1,000人と、ちょうど500名ずつの差でして、従業員数と綺麗に比例する形で売上規模の差が出ていることがわかりました

 

ちなみに営業利益率は、セプテーニが29.5%、サイバーエージェントが27%、アドウェイズが18.6%となりました。

セプテーニは比較対象の時期が違うので、季節要因等でもしかすると対象期間をそろえると少し利益率の上下する可能性はございますが、サイバーエージェント及びセプテーニの2社は30%近い営業利益率を上げていることがわかりました。

決算上ではアドウェイズサイバーエージェントを比較すると、アドウェイズの営業利益率がよく見えますが、ネット計上で同じ条件で比較してみると、実はサイバーエージェントの方がよいというカラクリが見えてきました。

 

今回はサイバーエージェントセプテーニアドウェイズの3社の比較でしたが、まだ決算を発表していないデジタルホールディングス(オプト)や、電通博報堂などの広告代理店の決算とも比較したものをお出しできればと思います。

 

皆さんも決算書の数字や日経新聞の字ずらに左右されることなく、ぜひ今回のように条件を揃えて気になる会社を比較してみてください!

本日はこの辺で~