どうしてエイチームが「Qiita」を運営するIncrementsを買収したのか?
[本日のアジェンダ]
先日、12/22にIT界隈を賑わした買収が行われました。
「Qiita」を運営するIncrementsを約14億円で買収したとのことです。
この記事が出るまでIT業界に身を置いているにも関わらず、
お恥ずかしい話「Qiita」自体あまり知りませんでしたが、同期のエンジニア情報によると、エンジニアなら知らない人はいないほどの情報共有サイトのようです!
実は私、色々なご縁があり個人的にエイチームのことを応援しておりますので、今回の買収は上手くいってほしいと思っているのですが、とはいえ気になる部分もちらほら・・。
そこで今回は、エイチームがなぜ今回の買収を行ったのかを、勝手に推測してみたいと思います。
エイチームからのプレスリリースによると、
「既存事業の競争力強化につながると想定される企業や事業」及び「自社で容易に参入できない、或いは参入に時間のかかる事業を持つ企業」への買収を検討してきたらしく、それが今回Incrementsに当てはまったとのことでした。
確かに後者の、容易に参入できなくて参入に時間がかかる事業を持つ会社に対する買収という意味では、今まで「Qiita」のような情報共有サイト事業を手がけていなかったエイチームにとっては当てはまるとは思います。
ただ、前者の既存事業の競争力強化に繋がるかというと・・、正直疑問符がついてしまいました。
そのうえ、年間売上約8900万円、赤字額約8000万円の会社を、約14億円(売上マルチプル約16倍)で購入していることにも、買収相場としてどうかと思ってしまいます・・。
ちなみにここで一旦、エイチームがどんな事業を展開しているのかをおさらいしましょう。
大きくは三つに分かれていて、
- エンターテイメント事業(スマホ向けゲーム)
- ライフサポート事業(例:引っ越し侍、ハナユメ・・)
- EC事業
上記三つの事業を展開しております。
売上比率でいくとざっくりですが上から5:4:1となります。
(ちなみにですが、決算資料を見ていて個人的にずっと気になっているのが、広告宣伝費でライフサポート事業に大きく投下している割には、なかなか売上に結び付いてこないなーといつも悲しんでます泣)
さて今回の本題になりますエイチームがなぜIncrementsを買収したのか、に関してですが、「人材」と「キュレーションメディア運営」の二点かと考えました。
人材の理由
単純にIncrementsの特に「Qiita」の様な情報共有サイトを運営している人材を確保したいというところでしょうか。
なので恐らくエイチームとしては、Incrementsの短期的な黒字化は考えていないと思っています。
また、本社が東京ではなく名古屋にあるということもあり、特に優秀なエンジニア人材獲得に苦戦しているのかもしれません。
そういう意味では、今回のように今後、優秀なエンジニア集団の企業をどんどん買収していって、人材を確保していくのはM&A戦略の大きな核にはあると思われます。
キュレーションメディアの運営の理由
では、なぜ情報共有サイトを運営していた人材を確保したかったのかを考えてみると、恐らく新しい事業として、一般ユーザーが色々なノウハウや生活の知恵みたいなものを共有することのできるプラットフォーム事業を、今後は展開していきたいのではないかと考えました。
というのも、エイチームの手がけるライフサポート事業のサービス群は、主に業者の比較サイトが主サービスとなっています。
ただ、それぞれある一定の認知度とシェアはあるのですが競合も多く、なかなか業界最大手サービスと呼べるものはまだ一つもない状況です。
また同じ売上規模間の会社と株式時価総額を比較してみても、ゲーム事業が主であるせいか、なかなか他社よりも低価格で評価されている現状にあります。
そういう中で、中期的に新しいサービスの開始運用を見越して、その事業に相応しい人材を確保しにいったのだと考えてます。
今後エイチームがどうなるかは、チェックしていきたいところです。