2019年にますます注目の、食品ECの決算を先取りしましょう!
[本日のアジェンダ]
どうも、ザーニーです。
ご無沙汰しております。前回の投稿が確か、阪神電鉄の株主総会の質問集を投稿したのですが、今までで一番反響がよく、普段の記事の面白くなさが露呈してしまいちょっとショックでしたが、気を取り直して今年最後の決算記事を書いていこうと思います。
今回取り上げるのは、オイシックス・ラ・大地(以下オイシックス)です。
食品EC事業と言えば、クックパッドなどが食品EC事業を今年から開始してして話題になりましたが、今回はクックパッドが食品EC事業を始めるずっと前から手がけているオイシックスの決算書を見ることで、食品EC事業を少しのぞいて見たいと思ってます。
食品EC事業と言えば、近年色々な会社が参入してきている分野の一つになります。
詳しくは下記の記事を見てみてください。
今後食品EC事業に参入したい、もしくは食品以外のEC分野で新たに勝負したい方向けに、少しでも参考になれば幸いです。
オイシックスの決算について
オイシックスの直近の決算資料についてみていきましょう。
半期が終わった時点で、売上高は317億円でYoY167%という数字を叩き出しており、昨年と比べて急成長しているのがわかります。
これは、「らでっしゅぼーや」の買収などにより売上が大きく伸びているためではありますが、既存の「Oisix」事業もYoY120%成長をしていることから、既存事業もしっかりと伸ばせているのが伺えます!
次に各事業セグメントの概況になります。
各事業の売上に対して、限界利益率(※)が14%〜17%になっており、限界利益から固定費やのれん償却を引いた営業利益が11億円で、営業利益率としては3.4%になります。
食品系の会社の営業利益率が大体概ね1%〜2%程度であることから、オイシックスは同業他社と比べて見ると利益率は良い方と言えるでしょう。
ここであまり聞きなれない限界利益(率)というワードが出てきましたが、これはビジネスモデルのところでしっかりと解説いたします。
簡単な数式だけお伝えすると、
という数式で表せます。
各事業それぞれ数字が出てますが、今回は特にOisix事業について細かくみていきたいと思います。
まずOisixですが、重要なKPIとしては「会員数」と「ARPU」になります。
会員数はYoYで121%も増えていることから、とても早いスピードで会員を獲得できているようです!
ではARPUの部分ですが、今回の決算資料より、半年前に出している年間の決算資料の方が分かりやすい資料があったので、こちらを見て見たいと思います。
これは2018年3月期の決算資料より持ってきました。
「ARPU=購入頻度×購入単位」と表すことができます。
ARPUが年々少しずつ減っているように見えます。購入単価は大きな推移はないようですが、購入頻度が徐々に減っていることがARPUを少しずつ下げている原因のようです。
ただ、購入頻度が下がっているようですが、先ほど見た会員数の伸びが購入頻度の下げ率と比べ、圧倒的に伸びているので売上全体で見た場合は大きな不安要素にはならないかと思います。
この辺り、会員数が増えると購入頻度が徐々に下げてしまうようなので、購入頻度を上げる施策をしっかり行えているのか、また購入単価を上げる施策も行われているのかなどをしっかり見ていく必要があるようです。
オイシックスの決算から見る食品EC事業のビジネスモデルについて
それでは、オイシックスから見えてくる食品EC事業のビジネスモデルについて、見ていきたいと思います。
これは全ての食品EC事業の全てがそうだという訳ではありませんが、Oisix事業を通して一つの参考になりうるかなと思ってます。
まず、上記で説明した限界利益についてですが、
限界利益=「売上高ー変動費」=「固定費+利益」という数式で表せるとお伝えしました。
つまり限界利益率15%ということは、変動費(売上原価)に85%も費やしているということです。つまりOisix事業の変動費で一番大きいのは食材費であるので、原価85%で仕入れてきているのが分かります。
つまり、
売上高:100
限利益:15
固定費:12 →人件費など
営利益:3
というのがOisix事業でみて取れるPL(損益計算書)になります。
そして具体的なKPI指標についても決算資料で開示されてました。
会員を増やすための指標、頻度を増やすための指標、単価を上げるための指標、そして原価を下げるための指標という大きく四つの指標が存在し、それぞれに複数の要因やKPIが設定できそうです。
今後の食品EC事業について
今後の食品EC事業についてですが、市場のポテンシャルとしててはとてもチャンスのある業界であることは間違いないです。
その分、超えないといけないハードルも高く、いくつもあるのでそれを超えていけないとサービスとして拡大しづらいと言えます。
なかなか食品EC事業が普及しない背景に、
①生産者の見える化ができていない
②食品の鮮度の担保及び輸送網について
③どうしても実物を見て持ってみたい
上記の3点が大きなネックになりうるかなと個人的には思ってます。
①の部分についてはプラットフォーマーがしっかり生産者を見える形で運営することが大切になってきます。
②の食品の鮮度を担保するための運営方法や、輸送網をどのようにするのかをしっかりと考えていかないといけないでしょう。
③の実物をみたいというニーズは、食品ECのみならずどのECにおいても最初にぶち当たる壁かと思われます。普通のモノとは異なり、口に入れる食品故に気を使う部分もあるかと思われますが、これは①の生産者の見える化や、プラットフォームの信頼性を上げていくことが一番大切になるかと思われます。
今回はオイシックスの決算を通して食品ECをみていきました。
2019年も食品EC事業に注目してみてください!
ではこの辺でー