オイシックスの決算が好調です!めちゃめちゃいいっす!

[本日のアジェンダ]

  • オイシックスの業績について
  • うまくいっているPMI
  •  食品ECの今後について

 

どうもザーニーです。

 

ここ最近、決算発表のピークweekだったので、色々な決算書を見てたのですが、個人的にとても興味深かったオイシックスについて、本日取り上げたいと思います。

 

オイシックスについては以前にも取り上げたことがあるので、もし前回の記事を読んで見たい方はこちらをご確認くださいませ。

 

kattenikaisyawokiru.hatenablog.com

 

今回のオイシックスの決算発表を見てみると、様々な面でとても好調であることがうかがえます。

そのうちの一つに経営統合したばかりのらでぃっしゅぼーやが好調であること、また食品EC市場全体が盛り上がっていることなど、オイシックの内部環境も外部環境もとてもうまくハマってきているうように思います。

よくどう業界の会社を統合する場合、人事面やカルチャー面、買収後のコミットメントラインについてモチベーションにムラが生じたりなど、PMIがうまくいくケースは本当に稀なのですが、オイシックスの決算をみるとそのあたりのPMIもとてもうまくいっているように思います。

 

M&Aに興味がある方、PMIで苦労している方、食品ECに興味のある方、オイシックスを利用してる方など、今回の記事は必見です!笑

 

 

オイシックスの業績について

では早速今回の業績を見ていきましょう。

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売上も営業利益も前年同期間(1Q〜3Q)での業績で比較すると、大きく伸びていることがわかります。これはM&Aでらでっしゅぼーやを買収した影響で伸びているのもあるのですが、それにしても営業利益率の高さがとても顕著です。今1Q〜3Qまでの類型の業績だと営業利益率が4.6%となっており、前回の上期(1Q~2Q累計)の時の営業利益率3.4%よりも1.2ポイントも上昇しております。

 

以前の記事でも触れましたが、食品系の決算を読んでみると、だいたい営業利益率はよくて1~2%代の会社が多い中、オイシックスは圧倒的に高い4.6%もの営業利益率を出せているのはとてもすごいことです!!

 

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オイシックスの決算資料の中でも、最も好きなページがこちらになるのですが、限界利益を明示しているこちらの資料を確認していきます。

どれも前四半期の決算資料時の限界利益率よりも、高い限界利益率を残すことに成功しております!!

 

〈全社限界利益率〉

  • 今四半期までの累計→16.4%
  • 前四半期累計→15.6%
  • 前年同時期→13.1%

複数ある事業のそれぞれもみて見てもどれもコスト管理がしっかりできており、利益を残せているの分かるかと思います。

 

限界利益=売上−変動費=固定費+営業利益

 

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まずはオイシックス事業ですが、こちらは大きなKPIである会員数が順調に伸びているようです。

前年同期と比較して121%も成長していますし、この伸びはまだまだ継続しそうです!

ARPUも会員数が伸びているにも関わらず前年と比較すると同水準なので、ARPUを落とさず会員数を伸ばせていることから、オイシックス事業の成長はとても良い状況と言えそうです!

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二つ目に大地の会事業についてですが、こちらも会員数が前年比111%成長しており、着実に会員数を増やしています。

 

また、ARPUは前年と比較すると減少しているようです。購買頻度が減少したことによるARPUの減少とのことですが、大地の会は有機野菜を配送しているのでもともと単価自体は高めに設定されているのもあり、会員数が増えるとどうしても購買頻度が減少してしまいやすい傾向にはあります。

今後、購買頻度向上のための施策を、うまいこと他の事業とカニバら内容に打てるかが注目です!

 

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三つ目にらでぃっしゅぼーや事業ですが、こちらは会員数が減少しておりますが、ARPUが上昇しているのがわかります。

赤字オーダーや低利益層の配送を減らす施策として配送料を変更したことに伴い、会員数が減少したようですが、その分ARPUが上昇したようです。

 

らでぃっしゅぼーや有機食品の定期配送をしているので、単価自体は高めになっています。こちらは大地の会とは逆の現象が起きてて、会員数が減ったのでARPUが上昇したのですが、今後ARPUを維持(orより上昇)しながら会員数を増やしていけるかが大事になってくるかと思います。

 

ということでこの三つをまとめた美しい資料をオイシックスが作成してくれております。(なんて投資家に対して優しいんだ・・泣)

それがこちらです。

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こちらの図が示すようにKPIの数字の推移を綺麗にまとめてくれてます泣

これまで述べて来たように、

 

  • オイシックス事業:会員数は伸びてるのでこの調子!!購買頻度の向上施策を打って、ARPUを上げよう!
  • 大地の会:会員数も伸びてるのでこの調子!購買単価も伸びてるので良い!!あとは購買頻度をあげる施策を!!
  • らでぃっしゅぼーや:購買頻度はあまり大きな変化ないけどもう少しあげたい!購買単価もよし!あとは会員数をあげる施策を!

 

という感じでしょうか!

 

食品EC事業の主なKPIが、会員数・購買単価・購買頻度の三つになるので、この三つの推移を見ていくことで戦略や施策に落としていくことが大切かと思われます!

 

うまくいっているPMI

ところで、らでぃっしゅぼーやですが、この度経営統合が完了したとのことです。

もともとオイシックスと同じような事業をしているとはいえ、(いや同じ事業をしていたからこそ)経営統合はとても難しいと言われております。

 

元々がライバル企業同士の統合になると、社員間の不和が起こりやすかったり、カルチャーの違いや人事制度、元々はどちらの会社の人だった、など色々見えない部分での軋轢が生まれることは多々あります!(半沢直樹で見た世界ですね。あれは銀行統合でしたが)

 

もちろん自分もオイシックスの内部を知らないので、全く上手くいってると断言することはできませんが、数字をみる限りとても上手くいっているのではないかと思ってます。

そう感じる点としては2点あります。

一つはらでぃっしゅぼーやでも限界利益率が向上している点、もう一つが配送料の変更など買収先の事業に対してスムーズな経営判断・実行を行えている点にあります。

 

利益が向上しているというのは、色々な要因が絡んで来ますが、どんな施策でも根っこの部分では社員一人一人の努力による部分が大きいと私の経験や仮説では考えております。その考えのから推察するに、変動費の見直し・効率化をしっかり行いながら利益率を向上させることができたということは、そこに携わる社員が主体的に取り組めている証左に他ならないと思ってます。

 

二つ目の買収先の事業に対してスムーズな経営判断・実行を行えている点については、買収・統合した後のオペレーションとしてよく発生するのは、買収先の親会社などは遠慮が働きなかなか意思決定がしづらいことが多々発生することがあります。

ただ、そんな中でもしっかりと素早い意思決定・実行を行えているのは、PMIが上手くいっているのからかなと思っております。

 

食品ECの今後について

今後食品ECですが、前回の記事でも取り上げておりますように、色々な会社が参入して来ております。

食品EC自体の市場規模は、1兆5000〜6000億円と言われています。この巨大な市場に対して、どこがイニシアティブを握るのか、群雄割拠の戦国時代が到来したかのように思います。

 

なかなか食品ECがこれまであまり伸びなかった原因に、

①生産者の見える化ができていない

②食品の鮮度の担保及び輸送網について

③どうしても実物を見て持ってみたい

この三点を以前はあげましたが、このうちの①③に関しては、企業の信頼性やブランド力によって解消していく部分かと思いました。そういう部分でいくと、一般消費者向けに割とすでに認知されているサービスなどがある会社がどうしても有利に働くことが予想されます。

 

また②も巨大な流通網を持っている(持つことができる)大きな資本を持つ会社か、そんな会社と提携していることが有利になるかなと予想してます。

 

規模の経済性が働きやすいかなと思ってしまうのですが、その辺りどの会社がどのようにしてこの市場を取りに来るのか、注目していきましょう!

 

それでは本日はこの辺でー