何故好調だったサイバーエージェントが下方修正を出したのか・・?

[本日のアジェンダ]

 

どうも。ザーニーです。

先日サイバーエージェントの2019年9月期の1Qの決算説明が発表され、その際に営業利益300億円から200億円へ下方修正することが同時に発表されました。

 

サイバーエージェントは近年とても調子がよく、とても良い決算内容を続けていたので、正直1Q終了時点で下方修正をしたことのとても驚きました。

 

サイバーに続き、IT系の象徴的な会社の一つでもあったZOZOTOWNを運営しているZOZOもこの度下方修正を出しています。

また海外に目を向けると、アップルではiPhpneの売上が15%ダウンしたり、Amazonの創業者ベゾスが離婚問題で大変な中Amazonの業績が低速してきてたりと、好調だった業績に少しずつ怪しい雲行きが漂ってきたように思います。

 

好調だったサイバーエージェントが下方修正を出したのは一体何故なのか?その原因を調べて行きながら、企業経営の難しさや意思決定・判断のスピード大切さ、そしてその決断に至った経緯の説明の仕方について、改めて考えてみたいと思います。

 

 

サイバーエージェントの業績について

それではまずサイバーエージェントの業績についてみていきましょう!

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四半期決算のアジェンダですが、売上としては広告事業が大きく売上を牽引したことで、 過去最大の売上になったようです。

各事業ごとの売上を見てみると、後ほど触れますが今回の下方修正の直接的な原因となったゲーム事業は、やや成長の伸びが鈍化しているように見えます。ただ、AbemaTVを要するメディア事業の売上の伸びは非常に高く、YoY29%と非常に高い成長率を維持しています。

また、AbemaTVのWAU(1週間あたりのアクティブユーザー数)も最高を更新したようですので、AbemaTVはまだまだ成長していきそうといえそうです。

 

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全社の営業利益利益ですが、先行投資事業(AbemaTV以外)では112億円の営業利益ということで、前年同期比と比べてもそこまで大きく減少しているのは見受けられないです。ただ、事業ごとの利益を見てみると安定している広告事業に比べゲーム事業の営業利益はどんどん減少しているようです。

ゲーム事業で利益が減少している理由としては、広告宣伝費をかけたわりには売上が上がってこなかったのと、広告宣伝費にかける費用を減少させようとしたがすぐに費用削減ができた訳ではなかったため今回の下方修正に繋がったと、藤田さんのブログでも説明されていました。

 

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広告宣伝費の具体的な金額としては、今四半期で約100億円を費やしていているのがわかります。

また、別ページを見るとAbemaTVへの先行投資の費用が約60億円投下しているようです。

60億円全額ではないとは思いますが、仮にこの60億円ほとんどが広告宣伝費とすると、残りの40億円のほとんどがゲーム事業にかけられている広告宣伝費ということになります。

そのため今回の下方修正は、この40億円をかけた効果があまり売上に結びつかなかったというところでしょうか。

ゲーム事業にかける広告宣伝費の適切な掛け方やに費用対効果について、各企業とても難しい思いをしながら試行錯誤しているのが伺えます。

 

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そして今四半期のPLは上記のようになってます。

売上高はYoYで13.2%成長しており、継続して高い成長率をキープしているようです。ゲーム事業の爆発的な売上の成長があれば、もっと高い成長率だったことを思うと、既存事業でも社員一人一人がしっかり成長して、売上に貢献していることがわかります。

 

また意外かもしれませんが、サイバーエージェントのPLの特徴としてはIT系の会社の中ではあまり営業利益率は高くない部類になります。前年同期も営業利益率は10%を超えない程度(8.4%)です。

 

ちなみに、完全に余談にはなりますが、サイバーエージェントの決算資料を見るのに先立ち、AbemaTVのことをもっと詳しく知りたいと思い、ネットTVではないですが民放放送の日テレとテレビ朝日の決算資料もざっくりと読んで見ました。

(ニーズがあれば今度、民放放送局の決算書読み比べの記事でも書こうかと思います笑)

 

直近のPLでの発表だと、日テレが営業利益率約10%程度、テレビ朝日は業績がよくなく約3~4%でした。

 

テレビ業界自体は営業利益率は高くないようなので、AbemaTVも黒字化できても営業利益率自体はそんなに大きくならないかもしれませんね・・。

このあたり、Netflixの決算書を読んでみるのも面白そうです!

 

それでは続いて、下方修正について改めて見直していきつつ、どうして下方修正を出すことになってしまったのか?、その後の経営の意思決定のスピードの大切さについて考えてみます。

 

 

下方修正についておさらい

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上記の二つのシートおよびサイバーエージェント藤田さんのブログによると、 前期の4Qあたりから異変には気がついてはいたものの新作のゲームの初速がよかったので広告宣伝費を絞らずに投下していたが、投下した効果に見合わない結果になってしまい、広告宣伝費もすぐには絞ることができないため、当初予定していた利益計画よりも100億円営業利益を下げたということになります。

 

上記の流れからすると、遅くても半年ほど前あたりから「あれ?おかしいぞ・・?」というシグナルが出ていたが、最終的に広告宣伝費を削る意思決定までに数ヶ月かかってしまい、すぐには絞れないためズルズルその影響で利益を食ってしまってるという状況が続いてしまっているということです。

 

何事においても意思決定のスピードの速さはとても大事であることはいうまでもありませんが、こと経営層にとって見ればこれほど大切でかつ大変なことはないかと思います。

経営層がなかなか意思決定することができず、ズルズルと泥沼に落ちて費用を出し続けている会社の例はたくさんあることでしょう。広告宣伝費は特に、売上に結びつきやすい費用であるのと、企業イメージやブランディングなどの影響から長期スパンで組む場合もあるため、すぐに判断することができないことも多いようです。

 

ただ、今回のサイバーエージェントのように、すぐにやめよう!と決断し、しかもその影響を第1Qで発表し投資家に理解を求め説明するあたり、とてもIRが上手であるなと思います。

 

そのようにとても早く意思決定できる経営陣がいるので、割と下方修正したとはいえ、残りの9ヶ月で大きく好業績に転換させて来ることもあるのではと期待してたりもしてます。

 

どの企業でも起こりうる負の事象に対し、すぐに経営陣が意思決定を行い、その説明をしっかりとステークホルダーに説明する、まさにサイバーエージェントの対応はお手本そのもののだなと思います。

 

ぜひ皆さんもご参考にしていただければ幸いです。

 

それではこの辺でー