GMOグループから見る”親子上場”の問題点に関して
[本日のアジェンダ]
- GMOグループの業績に関して
- ”親子上場”とは?
- GMOグループから見る日本市場の今後のコーポレートガバナンスに関して
お久しぶりです。ザーニーです。
前回から少し時間が空いてしまいましたが、その間に色々なニュースもあり、色々な会社の決算資料を読めたので、またポンポンと更新していきますね。
本日は、GMOインターネットグループの決算についてです。
GMOインターネットグループといえば、IT系の事業で様々なサービスを展開しており、それぞれの事業が業界ナンバーワンになっている、日本IT業界を代表するグループです。
ちょうど2月に通期の決算資料が開示されていたので、また決算資料を呼んで分析していこうかと思います。
またニュース等でご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、今回GMOインターネットの株主総会にて、海外の物言う株主による株主提案もされたりと、何かと物議をかもした株主総会になりました。
その一つの原因として、GMOインターネットグループによる”親子上場”問題も少し触れられていたので、自分が”親子上場”に関して思うことをまとめようと思います。
オアシス:GMO創業者の「支配的影響力」批判、統治改善を提案 - Bloomberg
GMOグループの業績に関して
それでは決算説明会の資料から業績を見ていきましょう。
今回は通期の資料を見ていきます。(本当は四半期の決算資料の方がいいのですが、今回は通期の開示なので)
業績の簡単なサマリーですが、売上はYoYで14.2%で成長しているようです。
営業利益は前年と比べて若干減っているようなので、このあたりがどうして下がっているのか確認する必要がありそうです。
またセグメント別で見てみると、伸びている事業と苦戦している事業の明暗がはっきり分かれているようです。
ドメインや決済、EC支援事業などのインターネットインフラ事業はYoY29.5%も成長しており、利益も同水準程度成長していることから、今期も調子がよさそうです。
四半期ごとのセグメントの売上推移を見てみても、インターネットインフラ事業の成長が分かると思います。
一方で他のセグメントに関しては、横ばいもしくは売上が下がっているところもあるようです。
インターネットインフラ事業の中でも、とりわけ成長しているのが決済事業です。
主に子会社のGMOペイメントゲートウェイ等が運営する決済システムが好調のようです。
確かZOZOTOWNの「後払い」という支払方法も、確かGMOペイメントゲートウェイが絡んでいたと記憶してます。
決済事業はまだまだ日本国内において、伸びしろは十分にあると思うので、まだまだ成長しそうです。
他のセグメントに関する資料もありましたが、まぁ総じて言うなら、GMOは今後もインターネットインフラ事業(特に決済事業)を軸に、まだまだ成長していきそうです。
逆にインフラ事業がこけ出すと、グループ全体としても厳しくなりそです。
インターネットインフラ事業以外が思わしくないなかで、今回の決算資料の中に新しい組織編制に関する資料もありました。
インターネット金融事業から仮想通貨事業を切り離し、独立したセグメントとして開示していくとのことです。
この仮想通貨事業に関しては、個人的には結構期待をしています。
というのは、ちょっと前に問題になったコインチェックの事件に関して、コインチェックのビジネスモデルなどが情報として流れた際に、予想値にはなりますがコインチェックが粗利で月間数百億円利益を出していたという報道もありましたので、(以前ほどではないとはいえ)ドル箱になりそうな仮想通貨事業を積極的に展開していくことで、利益額が大幅に増加することが期待できます。
そうなれば、株主配当の増加や次事業への投資もできるようになりますので、投資家にとっても会社にとっても非常に良い循環になることを期待しています。
”親子上場”とは?
では”親子上場”に関して、GMOインターネットグループを例に簡単に説明しょうと思います。
GMOインターネットグループにはいくつかの会社がありますが、まずGMOインターネット社という会社があります。この会社は上場しております。
またGMOインターネット社の子会社がいくつか存在しており、そのうちの例えばGMOペイメントゲートウェイ社という子会社も上場しています。
つまり親会社も子会社も上場している状態を指します。
他の例でいくと、ホリエモンの時に有名になったニッポン放送や、日立グループ、つい最近ではソフトバンググループが携帯事業だけ切り離して上場させるというニュースが流れました。
この”親子上場”のメリットは、
親会社にとっては、子会社が上場したことで子会社株を売却することで資金を得ることができるという点です。
ただ、投資家たちの間で懸念されるのが、親子両方の会社間で利益相反にあたる取引がされるリスクがあるとのことです。
どういうことかというと、例えば親会社の業績を上げるために子会社は親会社に対して不利な契約をして親会社を助けるというような事例です。
そうなれば子会社の株を持っている株主からすると、親会社(大株主)によって株主利益を損害されてことになります。
そういうことが起きるのではないかという懸念を投資家が抱いてしまいます。
また、パブリック(公共)であるはずの上場企業が特定の関係者に対して有利に行動しまうかもしれないような資本関係なら、そもそも上場させないでもいいのではないかという考えもあります。
(日本以外の外国ではほとんど”親子上場”はありません)
詳しくは↓
GMOグループから見る日本市場の今後のコーポレートガバナンスに関して
今回物言う株主から指摘されていたのは、GMOインターネットの子会社で上昇している会社(計8社)の時価総額がGMOインターネットの時価総額よりはるかに高いこと、そのことがGMOインターネット自体のガバナンスがしっかり統制されておらず、株主価値が毀損されているという理由が、改善提案をされた原因の一つになっています。
あとは、社長の熊谷さんの影響力の件や、社外取締役の機能不全などが指摘されていました。
”親子上場”ということを考える場合、再度考え直さないといけないのは、そのことをしたことで株主はメリットを感じるかどうか、という点が非常に大切になってくるかと思います。
正直自分としては”親子上場”していようがしていまいがあまり気にしていないです。むしろ”親子上場”で最高のパフォーマンスを上げているのなら、自分は気にしないです。
ただ、こういう形で株主提案を受けているという事実はあるので、GMOインターネットグループとしてガバナンスをどう強化していくのかを再度考える必要があるのではないでしょうか?
今回はいつもとはちょっと違う感じになってしまいましたがお許しください。
では今回はこの辺で