マネーフォワードとNewsPicksの有料課金ビジネスについて

[本日のアジェンダ]

  • マネーフォワードとNewsPicksの有料課金について

 

どうも、ザーニーです。

鹿島アントラーズの記事からだいぶたってしまい申し訳ございませんでした。

鹿島アントラーズの記事読んだよ!」「今度ファイナンス教えて!」なんていう感想もいただき大変恐縮ですが、これからもっと高頻度で更新していけるように頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

本日は、有料課金ビズネスについてMoney Forward Home(以下:マネーフォワード)とNewsPicks(以下:NP)の二つにサービスに関して、決算資料から読み取れるのを拾い上げていきたいと思います。

 

有料課金ビジネスを実際に行っているマーケの担当者など、ぜひご覧いただきいろいろなご意見いただけると嬉しいです!

 

 

マネーフォワードとNewsPicksの有料課金について

 

もう両社ともすでに2Qの決算資料がリリースされているのですが、マネーフォワードのほうは2018年11月期の通期決算資料を、NPは2018年12月期の通期決算資料の、前期の資料も参照にしながら分析していきたいと思います。

 

まずマネーフォワード社についてですが、2B向けサービスと2C向けサービスの両方を展開しており、2B向けで行くとMFシリーズのクラウド会計システムをはじめ請求書発行・経費精算など、バックオフィスサービスを展開しているのと、2C向けにはスマホのアプリなどで提供されている家計簿アプリが有名かと思います。

 

NPは、アプリやWebのブラウザでNewsPicksというメディア事業を展開しており、著名人へのインタビューやトレンドの記事、最近では動画コンテンツなどをはじめ有料会員向けのサービスを充実させてきています。

 

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上記の資料は、マネーフォワードの直近の決算資料より抜粋してきたものです。

利用者数は800万人いて有料課金ユーザーは19万人とのことなので、有料課金率は約2.4%でした。これは以前の記事で紹介したように、他社のサービスでも有料課金率3%前後のサービスが多く、有料会員率は大体3%程度というのが一つの指標になることが、マネーフォワードを見てもご確認いただけたかと思います。

 

上記資料を見ると、2018年11月期の一年間で増加した有料会員数は、大体約3万人(13万人→16万人)に増えているように見えますので、一旦計算の便宜上増加数は3万人として計算してみたいと思います。

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前期のマネーフォワード社全体での広告宣伝費が、4.51億円でした。この全額が有料課金ユーザー獲得のための費用に充てられているわけではないのですが、もし仮にこの広告宣伝費全額充てられているとしたら、1有料課金ユーザー獲得あたり費用は約15,033円費やしている計算になります。

マネーフォワードの月額利用料が500円ですので、回収するのに約30か月(ちょうど2年半)必要になる計算になりました。

これは上記で記載したように、広告宣伝費の全額を有料課金ユーザー獲得にあてた場合での計算なので、実際はもっと少ない期間で回収できているはずです。

 

また、利用者数も同じくみてみると、先ほどの資料の中に利用者数の推移で2018年5月時点~2019年5月までの一年間で約150万人利用者数が増加しており、この期間は前3Q~今2Qまでのちょうど一年間だったので、これも決算資料をもとに該当期間の広告宣伝費を算出(約10億円:2019年1月にCMをうっている影響で広告宣伝費が大きくなっている)し計算したところ、1利用者数獲得あたり費用は約691円費やしている計算になりました。

※これも、該当期間の広告宣伝費がすべて利用者獲得のための費用に充てられている場合の計算です。

 

マネーフォワードについてまとめてみると、

 

  • もし広告宣伝費の総額が有料課金ユーザー獲得にあてられている場合、有料課金ユーザー獲得にかかる費用は、15,033円(1有料課金ユーザーあたり)
  • 利用者数有料課金ユーザー率:約2.4%
  • 上記のコストを回収するのに、約30か月(2年半)
  • もし広告宣伝費の総額が利用者獲得にあてられている場合、利用者獲得にかかる費用は、691円(1利用者数あたり)

 

 

となりました。

 

それでは続いてNewsPicksについてみていきましょう。

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上記のように、NPは現在10万人をこえる有料課金ユーザーがいます。

ただ、今期から有料課金ユーザーの伸びが鈍化しており、コンテンツの見直しや動画コンテンツの拡充などのテコ入れを行っているようです。

 

では2018年12月期における一年間の有料会員の推移を決算資料で確認してみると、約39,000人増加しているのが決算資料より確認できました。

※2018年12月期及び2017年12月期の決算資料をそれぞれ参照

 

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また、有価証券報告書内に記載されている販売管理費の内訳を確認すると、該当期間の広告宣伝費が約5.1億円ということなので、もし年間の広告宣伝費が有料課金ユーザー獲得に充てられていた場合は、1有料課金ユーザー獲得あたり費用は約13,215円費やしている計算になります。

NPの有料会員の月額会費はiosだと1,400円、androidだと1,500円でアカデミア会員だと5,000円になるので、ここでは保守的に見積もるために一番低いiosの1,400円を利用して計算すると、約9.4か月で回収できる計算になりました。

 

また、NP事業の利用者有料課金ユーザー率を調べたところ、

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直近の有価証券報告書の記述のなかに、利用者数及び有料課金ユーザー数が明記されておりましたので計算してみると、約2.4%となりマネーフォワードとほぼ同じ率であるようです。

 

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そして、2018年12月期の有価証券報告書内に、期末の利用者数及び有料課金ユーザー数の推移をまとめている資料がありましたので、その資料より計算してみると、もし広告宣伝費の総額が利用者獲得にあてられている場合、1利用者数獲得あたり費用は約2,430円でした。

 

NP事業についてまとめると

 

  • もし広告宣伝費の総額が有料課金ユーザー獲得にあてられている場合、有料課金ユーザー獲得にかかる費用は、13,215円(1有料課金ユーザーあたり)
  • 利用者数有料課金ユーザー率:約2.4%
  • 上記のコストを回収するのに、約9.4か月
  • もし広告宣伝費の総額が利用者獲得にあてられている場合、利用者獲得にかかる費用は、2,430円(1利用者数あたり)

 

という数字になりました。

 

 

両社の比較から、

①有料課金ユーザー獲得の費用はNPの方が効率的に獲得できているが、利用者の獲得でみた場合、圧倒的にマネーフォワードの方が効率的に獲得できている。

②有料課金ユーザー獲得コストの回収に関しては、NPの方が短期に回収できている

という結果になりました。

 

①の原因として、NPは広義での競合にスマートニュースやグノシー、ビジネス系だと日経新聞等がいて競争が激しい中で、独自の切り口でターゲットを絞っている分マーケティングコストがかかっているからかと思われます。

一方マネーフォワード方は、最近色々な家計簿アプリが乱立してはいますが家計簿サービスでは業界一であるため、とりあえず最初はマネーフォワードを使ってみる、というユーザーが多い肌感覚はあり、その影響もあって利用者の獲得効率はとても良いものになっているのかなと推察します。

 

今後有料課金ビジネスについて、両社がどのように戦略を進めていくのか注目していきたいと思います。

 

本日はこの辺で~