freee対マネーフォワードの2社のKPI指標をそれぞれ比較してみました

[本日のアジェンダ]

  • 両社の業績とKPI指標の比較
  • 両社を比較してみてわかったこと

 

どうもザーニーです。

だいぶ長い間記事の更新ができておらず、久しぶりの記事更新になりお待たせいたしました。(約二カ月ぶりとなり、お待たせいたしました。。)

 

今回は、クラウド会計サービスで有名なfreeeとマネーフォワードの二社の業績と、決算説明資料で記載されている指標をそれぞれ比較してみたいと思います。

 

両社とも、注目のSaaS系サービスであり、株式市場からも注目を集めていますが、それぞれをしっかりと比較したことがなかったので、今回を機に比較してみようと思います。

 

ちなみに記事作成時点(2020年7月19日)で発表されている両社の最新の四半期決算説明資料と四半期報告書を用いて比較しておりますので、両社の決算期がずれている影響で、比較する対象期間が微妙にずれていることをに関してご了承ください。

freee:2020年1~3月

マネーフォワード:2020年3~5月

 

SaaS系に興味のある方、単純にfreeeとマネーフォワードに興味がある方、クラウド会計システムの導入を検討されている方などに見ていただけると嬉しいです笑

 

 両社の業績とKPI指標の比較

それでは両社の業績とKPI指標についてそれぞれ見ていきたいと思います。

ちなみに、マネーフォワード大きく4つの事業を展開しいるのですが、今回はfreeeとの比較なので、Business事業を特に取り上げて比較していきますので、C向けサービスの分析(有料課金ユーザーの動向など)はまた別の機会に別の会社との比較で行えたらと思います。

 

 マネーフォワードの業績とKPI指標

f:id:zainist:20200719131439p:plain

まずセグメント別の売上構成ですが、全体で四半期約28億円で前年同期比+70%も伸ばせており、しかも一番売上を出しているBusiness事業も四半期約17億円で前年同月比+82%と、売上の伸びを牽引しているのがすごいなと思います。

 

一方C向けのHome事業は前年同期比+19%となっており、他の事業と比べると成長が遅いように見えてしまいますが、C向けのサービスで19%で成長しているのもとてつもないスピードではありますし、他の事業が調子が良すぎるせいでそのように見えているだけなので、売上に関しては調子がよいと言えるでしょう。

また、リモートワークで対応できるためにクラウド系のサービスに変えたい会社の需要が増えることから、コロナの影響を追い風にして伸ばしているようです!

 

f:id:zainist:20200719131739p:plain

ARRも順調に伸ばせており、前年同期比+64%となっております。

特に今期に入ってコロナの影響が始まる前の1Q(12~2月)から成長スピードがより加速しているのも、とてもすごいなと思います。

 

ただ、この資料だとBusiness事業だけにおけるARRが分からないので、算出方法が正しいかどうか微妙ですが、ARR約80億円をBusiness事業の売上構成比率である82%にしてあげた値のARR約66億円を一旦Business事業のARRであると仮定して進めていこうと思います。

 

f:id:zainist:20200719131742p:plain

f:id:zainist:20200719131750p:plain

利益および費用構成の内訳ですが、売上総利益率も一定で推移しており、広告宣伝費を除いたEBITDAは今期から黒字化しているようなので、コストコトロールもしっかりできてきている状況といえるでしょう。

前期は1Q→2Qのタイミングで広告宣伝費を絞ったようですが、今期はコロナの影響もあり今が大きなチャンスと判断して、より広告宣伝費をかけてきているようです。

 

四半期で約5億円の営業赤字を出しているものの、SaaS系の会社でよくある広告宣伝費さえしぼればいつでも利益だせますという状況なので、資金調達をしっかりと行ったうえでマーケティング費用を費やし続けていくのはまだまだ続くものと思われます。

 

f:id:zainist:20200719142127p:plain

f:id:zainist:20200719142143p:plain

ではBusiness事業に関しての詳しい数字をみていきましょう!

まず、ARPAですが、少し伸びて62,297円とのことです!そして若干解約率が増えているものの、MRRベースでは会員数の解約率に比べて下がってはいないので、大口顧客の解約はされていないというのがいえるかと思います。

f:id:zainist:20200719142135p:plain

また、こちらはストック収入とフロー収入の内訳ですが、安定して収入が入ってくるストック収入がしっかりと成長しており、今期のBusiness事業の成長は一時的なものではなく、安定収入のストック収入が着実に成長した結果であるというのが分かる、投資家サイドからするととても安心できる資料ではないでしょうか。

 

こちらまで業績についてみてきましたが、マネーフォワードのクラウド会計サービスにおける指標を整理していきましょう。

 

マネーフォワードBusiness事業まとめ

四半期売上:約16.7億円(うちストック収入が約15億円)

売上高成長率:+82%

ARPA:62,297円

ARR:約66億円

 

という感じになりました。

 

freeeの業績とKPI指標について

f:id:zainist:20200719145104p:plain

f:id:zainist:20200719145114p:plain

では続いてfreeeの業績を見ていきたいと思います!

売上は四半期で約18億円でややマネーフォワードより大きいですが、売上高成長率がYoYで+47.8%とめちゃ速いスピードで伸びてはいるものの、マネーフォワードの方が成長率では早いという状況でした。

 

続いてARRとARPUをみていきます。ARRは約70億円とマネーフォワードより高い数字です。一方でARR自体の成長率ですが、マネーフォワードのBusiness事業だけの成長率が不明なので全社の成長率と比較すると、マネーフォワードの+64%に比べfreeeの44%となっており、こちらも成長率ではマネーフォワードが高いということが言えそうです!

 

ただ、freeeの成長率44%も以上の高さなので、決して低いわけではないです!

 

また、ARPUですが、マネーフォワードの62,297円と比べfreeeが34,402円なので、ここが両社のKPI指標の大きな違いを表している部分かなと思います。

 

これについては下記の3つの資料をみていただきたいのですが、

f:id:zainist:20200719151359p:plain

f:id:zainist:20200719151516p:plain

f:id:zainist:20200719151529p:plain

最初がマネーフォワードの料金体系でそのあとの二つがfreeeの料金体系です。

freeeの方がマネーフォワードに比べて、プラン数が多く個人事業主向けのプランがあったり、月額の金額もマネーフォワードよりもだいぶ安い金額で始められるので、利用者数は恐らく圧倒的にfreeeの方が多いと予想されますが、その分ARPU(APRA)はマネーフォワードの方が単価が高い分だけ高くなる、ということが言えるのではないでしょうか?

 

 

f:id:zainist:20200719150422p:plain

f:id:zainist:20200719150427p:plain

では、続いて売上総利益と営業利益についてみていきます。

freeeの方では販売管理費の内訳の詳細な資料がないので、上記の資料より見ていきたいと思います。

売上高総利益率は一定の水準でキープできており、74.8%とマネーフォワードより数ポイント利益率がよい結果となりました。

一方で、営業利益ですが、今四半期で約9億円の営業赤字を出しており、この時期に広告宣伝費を多く利用するからかとは思うのですが、毎年3Qが一番赤字が膨れるようです。

ただ、まだマネーフォワードのように広告宣伝費を控除した場合の営業利益の指標がないことや、販売管理費の内訳の分かるものがないため、黒字が見えているのかどうなのかがすこし見えずらいなという印象です。

freeeまとめ

四半期売上:約18.1億円

売上高成長率:+47.8%

ARPA:34,402円

ARR:約70億円

 

両社を比較してみてわかったこと

上記まででいろいろ書いてきましたが、整理してみると

 

売上高及びARR:freeeの方が少し大きい

売上高成長率及びARR成長率:マネーフォワードが高い

ARPA&ARPU:利用プランの違いからマネーフォワードの方が高い一方で、freeeの方が利用社(者)数は多い

 

とまぁこんな感じになりました。

 

またいろいろな会社の比較をしていきたいと思いますー

 

本日はこの辺でー

 

 

あ、ちなみに今回の両社のIR資料を見て、「この資料はちょっと物申したい」みたいなのがいくつかあったので、物申しコメントをTwitterhttps://twitter.com/Zarny_Python/status/1284736283177218051)でツイートしてるので覗いてみてください