同じショッピングカート事業のBASEとGMOペパボで、時価総額が3倍も違う理由を考えてみました

[本日のアジェンダ]

  • ショッピングカート業界について
  • BASEの決算について
  • GMOペパボの決算について 
  • 時価総額が3倍も違う理由

 

どうもザーニーです。

 

リモートワークが始まりもう一か月ちょっと経ちましたが、もうすっかりリモートワークでの仕事に慣れてきました。

リモートワークの良い面悪い面など色々見えてきましたが、リモートワークにする前と現在とのライフスタイルの違いで一番感じているのは、家にいる時間が圧倒的に増えてことに伴いネットショップの頻度が格段に上がったなと思っております。

 

ネットショッピングの回数が増えていることを実感している方は多くいらっしゃるのではないでしょうか?

しかも家にいるので指定の時間帯での荷物の受け取りも確実に行うこともでき、ヤマトや佐川の配達員の方にいだいていた再配達の申し訳ないシチュエーションが全くなくなりました。

 

ただ、ZOOM中に配達がきたりするとちょっと気まずいですが・・笑

 

ということで、本日はネットショッピングに絡めて、ショッピングカート事業を展開しているBaseとGMOペパボ社の二社の決算を比較してみました。

 

記事制作現在(2020年5月3日時点)のそれぞれの時価総額は、

BASE:約310億円

GMOペパボ:約100億円

約3倍の金額の差がついております。

しかも、GMOペパボは営業黒字で着地させられている一方、BASEはまだ単年での営業黒字を実現できていないにも関わらず、上記の差が開いています。

 

なぜ3倍の値段がついているのか、この差額がなぜ発生しているのかを考えていきたいなと思っています。

 

EC事業に興味があるかたは是非ご参考いただけると嬉しいです!

 

ショッピングカート業界について

ショッピングカート業界についてですが、様々な会社のサービスのカートが存在しているのですが、BASEとGMOペパボが運営しているカラーミーショップが業界ではどのポジションのサービスなのかを見ていきたいと思います。

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これは2016年のものなのでだいぶ古いのですが、一応わかりやすいものだったのでもってきました。

4年も前のマップなので、変わっている部分も多々あると思いますが、ご了承ください・・。

 

まず縦軸に利用店舗の売上規模が、横軸にカート機能の拡張性という軸でマッピングされています。

 

このマップではBASEは一番売上店舗の売上規模も小さめでかつ、機能の拡張性もあまりない左下の方に位置しております。

これは、BASE自体のサービスが、今までネットショッピングを開設したことのない個人や中小の方でも簡単にショッピングカートを開設できるように、というところからサービスが始まっており、利用しているユーザー層自体が個人が中小規模の会社が多くシンプルな設計にすることで、サービスの差別化を図っていることから、このマッピングになっています。

 

一方カラーミーショップは、BASEよりも利用店舗の売上規模がやや高く、昨日の拡張性もやや高いところにマッピングされています。

ただ、このポジションにいることで、もともとの既存顧客やカラーミーショップを利用する客層の潜在顧客の多くがBASEの方に奪われている構図になっているのが決算資料を読むと見えてきました。

 

それでは、各社の決算資料を読んでいきたいと思います。

 

 BASEの決算について

まずBASEの決算をみていきたいのですが、1~3月までの四半期の資料はまだ開示されておらず、今現在確認できる直近の開示資料は2019年12月決算の年度決算における資料となるので、コロナが影響している期間の資料はまだ出ていないという前提でお話を進めていきます。

 

ちなみに、1~3月期間の第一四半期の決算資料は5/15に開示予定なので、あと2週間後待ちましょう笑

 

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BASE社は「Eコマースプラットフォーム事業」と「決済事業」二つを展開しているのですが、売上のほとんどを「Eコマースプラットフォーム事業」で占めております。

「Eコマースプラットフォーム事業」特徴は上記にあるように、初期や月額利用料は0円で、決済金額の6.6%+40円をもらうという仕組みになっているようです。

 

そのため利用者からすると、初期のイニシャルコストや月々のランニングコストがかからないため、簡単にネットショップを始めることができるという点で、多くの個人や中小規模の会社のユーザーから支持を受けて伸びているようです。

 

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その結果、ショップ数が90万を突破し、どんどん増えていっている状況です。

若干直近の伸びが鈍化しているようにグラフ上では見られますが、コロナの影響でショッピングカートを開設して業績を立て直したいと考える飲食店はじめ中小企業や個人のニーズは高まっているので、そのニーズをBASEがしっかり吸収することができるとさらにショップ数が早いスピードで増えていくことが予想されます。

次の四半期と次の次の四半期のIR資料でこのショップ数の増加スピードがどうなったかをウォッチしたいと思います。

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売上も四半期で9億円を突破しており、YoY46.1%と驚異的なスピードで伸びています。

またその売上の伸びが安定している今後も伸びていきそうであることが、GMVの推移で示されています。

月間GMV・月間売店数・1ショップ当たりの月間平均GMVが軒並み伸びているのがわかります。

全ての指標が伸びまくっているので、決算上ではほう本当にケチのつけようがない決算結果だなと思います・・。

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あと、これはコロナが起こる前のときに出されているものなので、5/15の発表で大きく変わるかもしれませんが、一応今年一年の予測がこちらです。

うまくいけば通年黒字が見えるようではありますが、このコロナの状況をチャンスととらえてユーザー獲得のために広告宣伝費をどんどんうつことも考えられるので、今期も赤字で着地することも十分あり得そうですね。

 

というより、おそらく赤字で着地させるような気もしてます・・。コロナの影響で伸びる事業として一般的にみられているのと、有報では現預金が72億円もあるようなので、今期赤字着地させても文句はいわれないだろう、という算段のもと攻めることは十分あるかと思います。

この辺りはやっぱり5/15の決算発表を待ちましょう笑(くどいですねw)

 

GMOペパボの決算について

GMOペパボ社は決算期はBASEと同じ12月期の会社なのですが、いち早く1~3月の期間の第一四半期の決算発表を出しております!

GMOグループは決算発表が早くて、いつもすごいなと思ってます・・。

GMOペパボの方は、2019年12月の年度決算および、2020年12月期第一四半期決算の資料を使ってみていきます。

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GMOペパボ社はカラーミーショップを展開している「EC支援事業」だけでなく、レンタルサーバー事業のロリポップを展開する「ホスティング」とminneを展開する「ハンドメイド」を主に展開しています。

EC支援事業は89億の28.2%なので、大体年間約25億円程度の売上を上げているということになります。

 

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EC支援事業の四半期でみるとこちらが直近の資料です。

約四半期で7億円を売上を上げておりYoY123.4%とこちらも高い成長率で伸びています。また営業利益も2.2億円残すことができており、EC支援事業の営業利益率は約33%とめちゃめちゃ高収益事業であるというのがわかるかと思います。

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ただ、カラーミーショップだけの事業でみると、実はだいぶ異なっているようです。

売上高ですが、約3.5億円EC事業の約半分を占めているものの、売上成長率はYoY102.4%と先ほどのEC支援事業全体の数字と比べるとだいぶ伸びが鈍化しているようです。

その原因の一つに、契約件数が徐々に下がって少なくなってきているのが上記のグラフに記載されています。

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カラーミーショップはBASEと異なり、上記のように月額利用料をとるビジネスモデルであるため、契約件数が減るとその分ダイレクトの売上に影響してくるモデルであるため、契約件数の減少が影響しているものと思われます。

 

また、ショッピングカートのマップを思い出していただきたいのが、カラーミーショップはBASEと比較しやや1店舗の売上が高く、やや拡張性があるというポジションであることで、当初カラーミーショップを利用していたけど、月々のコスト面と拡張性を検討した結果BASEに乗り移るケースや、新たに開設したい潜在顧客をBASEに奪われているのかこの契約件数に表れてしまっているのではないかと思います・・。

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ただ、もう一つのEC支援事業の「SUZURI」はYoY220.4%で爆速で伸びており、売上規模もカラーミーショップに並ぶ勢いであるので、今後のEC支援事業の柱の一つになりうる可能性もあり、こちらの成長もウォッチしていきたいところです。

 

suzuri.jp

 

時価総額が3倍も違う理由

それではBASEとGMOペパボ時価総額が3倍も違う理由を考えていきたいと思っております。

一番大きな原因はやはりBASEはショッピングカート事業が会社の一番の事業であることと、その事業が圧倒的に伸びまくっているというのが市場からするととても期待されるポイントなのではないかと思います。

 

一方GMOペパボは、EC支援事業が全体の売上の約28%でカラーミーショップだけでみるとそのもう半分なので、全体の約14%ほどの影響しかありません。

そのうえ売上は鈍化しており契約件数も減少傾向というマイナス要因が続きます。

また、一番大きい事業のロリポップも、今回資料は出してませんが、YoY103%とこちらも成長率がBASEに比べ低く、GMOペパボ社として売上が爆発的に伸びるイメージがないため、時価総額が高く付きづらいという感じではないでしょうか・・?

 

また、楽天GMOインターネットグループにも起こっていることですが、コングロマリットディスカウントも影響しているものと思われ、このあたりが重なり3倍の差を生んでいるのではないかと思われます。

www.ycg-advisory.jp

 

 

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GMOペパボ社株価推移

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↑BASE社株価推移

 

ただ株価の推移をみてみるとお互いに同じような面白いことに、同じように推移しているのがわかります。

3月中旬の緊急時代宣言ごろにかけて株価が下がりつつも、そこからじりじりと株価を戻しているようです。

 

それでは本日はこの辺で~