シェアリングエコノミーの代表格、スペースマーケットの決算をみてみた

[本日のアジェンダ]

  • スペースマーケットの業績について
  • スペースマーケットの戦略について

 

どうも、ザーニーです。

本日はシェアリングエコノミーの代表格でもあるスペースマーケットの決算についてみていきたいと思います。

スペースマーケットといえば、場所のC2Cサービスでるスペースマーケットを展開しており、パーティーや二次会などの会場探しで利用されているかたも多くいらっしゃるのではないでしょうか?

 

そのスペースマーケットが上場して最初の決算説明会になり、楽しみにしておりましたが、非常に分かりやすい資料で感動しました!

 

本日はシェアリングエコノミーの代表格であるスペースマーケットのIR資料を見ていきたいと思います。C2Cに興味のある人や、不動産テックに興味がある方など見ていただけると嬉しいです。

 

スペースマーケットの業績について

スペースマーケットを記事として取り上げるのが初めてですので、どんな事業をやっているのか簡単にみていきたいと思います。

f:id:zainist:20200218220512p:plain

スペースマーケットは、webやアプリで提供しており、場所を提供したい個人と場所を借りたい個人をつなげるプラットフォームを運営しています。

数年前よりシェアリングエコノミーという言葉が流行ってましたが、そのシェアリングエコノミーの代表格といっていいのがこのスペースマーケットというサービスです。

 

f:id:zainist:20200218220844p:plain

少しマクロな話でいくと、スペースマーケットがいる「場所のシェア」だけでなく、カーシェアサービスなどの「移動のシェア」、副業や個人事業主などの拡大により注目されている「リソースのシェア」、そして自分が所有している物をシェアし合う「モノのシェア」など、シェアリングエコノミー自体はどんどん拡大していく流れです。

f:id:zainist:20200218221327p:plain

とりわけこのスペースマーケットが拡大していくことで、上記の左側に記載されている既存市場だけではなく、右側のように新しく10兆円以上の新しい市場を創造していくことが予想されており、大変注目されております。

 

ではそんなスペースマーケットですが、実際の業績をみていきたいと思います。

 

f:id:zainist:20200218224554p:plain

f:id:zainist:20200218224614p:plain

f:id:zainist:20200218224630p:plain

まずは業績サマリーからですが、2019年12月期の売上は約8億7千万、営業利益が約4千万となり、通期ではじめて黒字となったようです。

スペースマーケットの流通総額は約24億円でCAGRも92.1%と驚異の高成長を続けています!

 

f:id:zainist:20200218225314p:plain

こちらのKPIをまとめたシートが非常に分かりやすく秀逸だったのですが、スペースマーケットの業績を見ていくうえで押さえておくべきKPIが大きく二つある、と書かれています。

①月間利用スペース数合計

②月間GMV/SP

この二つを掛け合わせたものがGMVとなり、テークレートを掛けると売上になる、という感じになります。

 

①月間利用スペース数合計

②月間GMV/SP

 のこの二つのKPIについても推移がしっかりと開示されており、

f:id:zainist:20200218225626p:plain

上記のようになっているようです!(非常に投資家にやさしい!!!!)

 

①の月間利用スペース数合計ですが、サービス自体がまだまだ成長途中にあるので、魅力的な物件やスペースをもっともっとかき集めてくることで、①のKPIは高い成長率を継続して伸び続けていくかと予想しています。

 

②のKPIに関してですが、②のKPIをもっと因数分解できると考えており、自分なりに下記の4点にさらに因数分解してみると

  1. ユーザーの利用者数
  2. ユーザー一人当たりの一か月の利用回数
  3. 一回あたり利用時間
  4. 賃料(利用料)

上記のように因数分解できるかと思います。

その中で「4.賃料」以外はスペースマーケット側でなんとか努力して向上できそうな指標かなと思ってます。②のKPIはこのように変数がたくさんあるので、なかなか①のように爆発的に伸びることは難しいかもですが、因数分解した1~3のどのKPI数字をどう優先度をつけて②のKPIを伸ばすか、というのが今後のIR資料より読み解いていくテーマかなと思います。

 

f:id:zainist:20200218230613p:plain

一応上記の資料をみると、季節要因(10月~12月はイベントは繁忙期)でGMVが伸びやすいということもありますが、過去最高を更新しており、②の月間GMV/SPも過去最高を更新し続けているのがうかがえます。

 

ちなみにこの資料から、貸主はユーザーから利用されるような魅力的なスペースを所有しているのなら、スペースマーケットに掲載すると、繁忙期で月8万円ほどのGMVが発生する、ということが読み取れ、そうなるとマージン(スペースマーケットのテイクレート)が約30%なのでその分を引かれ、月に56,000円ほど収入が入ってくる、という計算になります。

(空き家の小遣い稼ぎにはちょうどいいですが、もう一声ほしい数字ですね・・・)

 

f:id:zainist:20200218230638p:plain

f:id:zainist:20200218230641p:plain

さきほどテイクレートの30%の話をしましたが、それが分かるのが上記一つ目の資料です。

GMVから約29.7%の金額が会計上の売上になっております。

また、2019年と比べて2018年は販管費が約5千万も多く支出しているようですが、それは二つ目の資料を見てみると、2018年の4Qに広告宣伝費で約2億円を一気に出しているのが分かります。

4Q(10月~12月)という繁忙期に一気にユーザーを獲得しようということで、大々的にプロモーションを打ったのだと思います。その甲斐あってか、2019年の4Qは2018年の4Qと比べ約5分の1程の金額しか広告宣伝費を出していないにも関わらず、GMVが過去最高を出せているので、2018年のプロモーションが効果を発揮しているのかと思われます。

 

スペースマーケットの戦略について

IR資料には今後の戦略として、

f:id:zainist:20200218232018p:plain

上記のように明記されてました。

 

もともと数年前までは売上の構成比の半分は法人向けサービスでもあったので、今後は法人向けもより伸ばしていく方針であるのと、スペースマーケット自体も一般ユーザーだけではなく、法人の利用を増やしていく方針のようです。

 

これは、先ほど自分が因数分解した、1~3のKPIを一気に向上させる良い戦略だなと思ってます。

企業のチームビルディングや歓迎会・交流会などをスペースマーケットを利用して見つけることにより、

  1. 利用者数→法人利用社が増えることで純増
  2. 利用回数→企業の定期イベントに活用してもらえる
  3. 利用時間→企業のイベントは準備から退出まで時間がかかるので長時間で予約

 

などが見込まれ、より②のKPIが伸びていくイメージがわきやすいです。

 

といっても高い壁はあるようで、古い会社や大きい会社などはすでにどこかの会場やホテルなどと会場施設に関して契約を結んでいるケースが多いらしく、(今度ホテルの決算書に関しても取り上げますが)ホテルの売上を支えているのがこういう企業などのイベントによって支えられているのです・・。

 

その牙城を崩していけるかが、スペースマーケットの更なる飛躍のカギになりそうです!

 

それではこのへんで~